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第2回 若手科学者によるプラズマ研究会
主題:プラズマ中の揺動と不安定性 平成11年2月15〜17日開催 サマリーセッション:
本研究会での発表は、トーラス系のトカマク、ヘリカル、逆磁場ピンチプラズマ(RFP)・極低qプラズマ(ULQ)や直線系のミラー、さらにはレーザー核融合を含み多岐に渡った。内容的にも、実験、理論・シミュレーション両面からの発表がバランスよくあり、主題である「プラズマ中の揺動と不安定性」に関する研究が各研究機関・大学で精力的に行われていることが伺える。各々の発表を、対象としているプラズマの振る舞いに着目して分類すると表1の様になり、プラズマの持つ多様性を見て取ることができる。これらの現象を包括的かつ鋭敏な断面を持って理解することが、プラズマ物理の発展に不可欠であることをあらためて認識することになった。具体的には、運動論的効果を考慮した研究が数多く発表され、異なる閉じ込め方式あるいは異なる磁場配位における粒子運動論的効果を統一的に理解するとともに、個々のプラズマ現象と粒子運動論的効果の関連を断面的に理解することで、今後プラズマ物理が発展すると期待される。
研究会全体を通して、不安定性の発生機構に関しては実験・シミュレーションの両面から理解が進んでおり、安定化の手法も実現されつつあるように思える。しかしながら、プラズマ中の揺動や不安定性と輸送の関係については、まだ十分に理解が進んでいないのが現状である。核融合炉を目指す場合に最も重要となる核融合出力は、式(1)に示すようにプラズマ圧力分布、装置パラメータ、及びプラズマ安定性に依存する。プラズマ圧力分布は輸送で決定され、また高いプラズマ安定性を得るためには当然不安定性の安定化が必要である。したがって、核融合炉実現のためには、輸送(揺動・不安定性との関連)や不安定性の安定化に関する研究を、閉じ込め方式によらず横断的に進めることが重要である。そのためには、個々の研究者が研究を行うにあたり、どの要素への貢献に重点をおいて研究を進めるか意識することが重要である。 ![]() 研究会の趣旨である「異なる分野間での議論を通じて共通の物理の理解及び各研究の応用の幅の拡大を目指す」上で、各研究の関連性が読み取れるように、各研究発表を以下の観点からまとめた。(表2)
今回の発表の中から関連性として具体的に、以下のことが議論された。()内の番号は表2の番号に相当する。
以上のような議論を行ったが、もちろん関連付けが重要なわけではなく、関連性の中から横断的な議論を通して共通の物理を理解することが重要である。その観点からは、まだ議論が不十分であると思われる。今後この多種多様な研究分野間での議論・研究協力により、プラズマ中の揺動と不安定性に関する研究が進展するかどうかは、研究者自身の意識に負うところが大きい。今回の研究会が各個人の意識付けに役立つとともに、若手研究者相互のコミュニケーションを円滑化し、活発な議論の土壌作りに貢献することを期待する。 |
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