核融合炉概念研究の流れ
定常高磁場トカマク路線(1990-2002)
SSTR, A-SSTR, A-SSTR2, DEMO-2001
1990年に提案したSSTRによって将来のエネルギー市場への参入が議論できる核融合炉概念ができあがりました。しかしながら、SSTRの発電原価試算は16円/kWh(軽水炉の約1.5倍)と高かったため、「経済性の改善」がそれ以降の研究の至上命題となりました。
SSTR以降のA-SSTR, A-SSTR2及びDEMO-2001は高磁場コイルを採用して小型で高出力の(言い換えれば、出力密度の高い)核融合炉を追究したものです。この方法で確かにプラズマの出力密度は向上できますが、一方で炉自体の物量がかさむという問題が明らかになりました。
低アスペクト比路線(2002-現在)
VECTOR, SlimCS
高磁場コイルは強大な電磁力の発生を伴うので、その支持部材のかさが増すところに「高磁場路線」の問題があります。この問題の解決策として「低アスペクト比」という概念に到達しました。このような低アスペクト比炉では炉全体がトーラス軸全体に圧縮された構造になります。このようにすると、いくつかの重要なパラメータの設計限界が拡大するため十分な設計裕度を確保できるメリットもあります。
この路線の先駆けとなった炉概念がVECTORであり、その技術的ハードルを低くして原型炉として相応しい炉概念を探求したものがSlimCSです。
詳しくは >> JAEA広報ページ 3-6をご覧ください。