保守概念
コンパクトな核融合原型炉において炉心機器(ブランケットやダイバータなど)の交換作業が短期間で済めば、プラントの稼働率が向上し経済性の見通しをつけることができます。交換保守期間の短縮のために採用した方法は、トーラス方向を12個のセクターに分割し、セクター毎引き抜ぬいて隣接するホットセルで保守及び炉心機器の交換を行う「セクター保守方式」です。
一つのセクターには約60個の交換ブランケットが装着されており、定期交換時にはこれらすべてを入れ替える必要があります。それぞれのブランケットには冷却水やトリチウム燃料回収ガスを流す配管が接続されているので、これらの配管の切断・再溶接・試験を炉心本体内において遠隔制御で行う場合には半年以上の作業期間を要します。定期交換は2,3年に一度なので、半年という作業期間は長すぎます。セクター保守方式の場合には、スペアセクターと入れ替えることで、切断・再溶接作業の大部分が不要になるため3ヵ月程度で運転を再開できます。取り出したセクターの交換補修や試験は、運転と並行して行えます。さらに、セクター保守方式には、不測のトラブルへの対応、高性能の炉心機器との入替などの面で大きなメリットがあります。