炉心プラズマ研究部では、平成8年度より数値トカマク(NEXT)計画を推進してい
ます。この計画は、超並列計算をはじめとした近年の計算科学の著しい発展を背景に、プラズマの振舞いを規定している基礎方程式にできるだけ忠実に従うことにより、プラズマ中で展開している現象を計算機上に再現し、核融合プラズマの複雑現象の物理的解明を図ることを目的としています。このような核融合プラズマシミュレーション研究の推進にあたっては、その物理手法・計算科学手法において、核融合研究の分野のみならず幅広い学問分野の英知を結集する必要があります。そのため、本 NEXT 研究会においては、核融合・プラズマ物理を中心に光量子物理、天体・宇宙物理、流体物理および数値計算物理など、広範囲の関連研究分野の方々の参加・報告をお願いし、企画させていただいています。
第6回 NEXT 研究会は、平成13年3月8日、9日に東京の富国生命ビルで開催され、46名(所外研究機関から29名)の方々からの参加を得、16件の発表がありました。なお、当日のプログラムおよび出席者名簿は、それぞれ、第1表および第2表に示しています。今回は NEXT 計画の中心課題である、輸送現象、電磁流体力学的(MHD)現象、およびダイバータ・SOL領域などの周辺プラズマ現象解明のためのシミュレーション研究を中心に、天体・宇宙物理、ダストプラズマ等におけるシミュレーション研究、レーザー核融合や高強度レーザー・プラズマ相互作用の進展に関して報告していただき、活発な議論がなされました。また、近年の計算機の発達に伴い大規模シミュレーション手法は着実に進展しつつありますが、3次元データの可視化処理技術と解析手法については発展段階にあり、NEXT 計画においても最新の手法を取り入れることにより効率的な研究基盤を構築する必要があると考えています。特に、仮想現実(Virtual Reality)システムの導入を予定しているため、本研究会では大規模計算の可視化手法 及び VRシステムの進展に関しても多くの議論をしていただきました。さらに、NEXT 計画を通じての協力・共同研究や実験とリンクした超高速実時間処理等、超並列計算機の新しい利用法についても議論され、これらの発表は今後のNEXT 計画の着実な推進に資するものであり、ご多忙中にもかかわらず、本研究会に出席していただいた諸先生方にお礼申し上げます。
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