炉心プラズマ研究部では、平成8年度より数値トカマク(NEXT)計画を推進してい
ます。この計画は、超並列計算をはじめとした近年の計算科学の著しい発展を背景に、プラズマの振舞いを規定している基礎方程式にできるだけ忠実に従うことにより、プラズマ中で展開している現象を計算機上に再現し、核融合プラズマの複雑現象の物理的解明を図ることを目的としています。このような核融合プラズマシミュレーション研究の推進にあたっては、その物理手法・計算科学手法において、核融合研究の分野のみならず幅広い学問分野の英知を結集する必要があります。そのため、本 NEXT 研究会においては、核融合・プラズマ物理を中心に光量子物理、天体・宇宙物理、流体物理および数値計算物理など、広範囲の関連研究分野の方々の参加・報告をお願いし、企画させていただいています。
第3回 NEXT 研究会は、平成9年9月4日、5日に東京の日本原子力研究所東京本部で開催され、41名(所外研究機関から21名)の方々からの参加を得、15件の発表がありました。なお、当日のプログラムおよび出席者名簿は、それぞれ、下記に示しています。
最近、プラズマ物理、流体物理では連続体的な取り扱いと粒子的な取り扱いの混合により対象とする物理現象の特徴を捉え、より現実的なシミュレーションを目指すハイブリッド・モデルが着目されています。また、計算機利用技術では高性能コンピュータと高速ネットワークを統合的に利用する技術開発に関心が高まっています。中でも、スーパーコンピュータの異機種間結合計算、特に、スカラー並列機とベクトル並列機との結合によるハイブリッド計算が計算機資源の有効利用法として注目されるようになりました。この異機種間結合計算は、COMPACSをはじめとする原研の計算機システムの特徴を生かした計算機利用技術です。
第3回NEXT研究会では、「ハイブリッド」をキーワードとしたプログラムの構成を行いました。数値トカマク計画に関しては、異機種結合計算、粒子流体ハイブリッドシミュレーション、及び垂直移動現象(VDE)シミュレーションの成果を報告しました。ハイブリッド計算機によるシミュレーションの成果、特に、ハイブリッド計算機の利用技術に関しては、計算科学技術推進センターの協力を得ています。また、各専門家を招き、計算流体、天体物理の最新の話題についての発表を依頼し、さらに、外国人研究者を招き、米国における核融合プラズマシミュレーション計画のひとつであるMH3Dプロジェクトについて発表を依頼しました。
これらの発表は今後のNEXT計画の着実な推進に資するものであり、ご多忙中にもか
かわらず、本研究会に出席していただいた諸先生方にお礼申し上げます。
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