ポロイダル磁場コイル電源
特徴
トカマクプラズマの生成・制御するための電源で、出力500MVAの電動発電機と交流-直流変換用のサイリスタ変換器群から構成されています。
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ポロイダル磁場コイル電源電動発電機
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電源構成
JT-60では、プラズマの生成・制御を5種類のコイルと各々に接続されるサイリスタ変換器により行います。
- ポロイダル磁場コイル構成
Fコイル(空心変流器コイル) |
励磁した電流を急激に変化させ、トランスの原理で2次側に相当する真空容器内に高電圧を発生させてプラズマを着火し、プラズマ電流を増大・維持させる。 |
Vコイル(垂直磁場コイル) |
プラズマ断面の水平位置を制御する。 |
Hコイル(水平磁場コイル) |
プラズマ断面の垂直位置を制御する。 |
Dコイル (ダイバータコイル) |
不純物の除去などを行うダイバータ配位を形成する。 |
DCWコイル(ディスラプションコイル) |
プラズマのディスラプションを制御する。 |
高三角度配位運転を行う場合には、Vコイルを内周側(VTコイル)と外周側(VRコイル)に2分割し、VTコイルにより三角度の制御を行います。
- ポロイダル磁場コイル電源構成
各コイルに電力を供給する電源は、ポロイダル磁場コイル電源電動発電機と加熱用発電設備電動発電機から交流電力を受電し、サイリスタ変換器で整流して供給しています。
- ポロイダル磁場コイル電動発電機から給電される電源
コイル電源名 |
定格 |
接続コイル名 |
空心変流器コイル電源(PSF) |
電流±120kA 電圧±2.5kV |
Fコイル |
垂直磁場コイル電源(PSV) |
電流+60kA/-10kA 電圧±5kV |
Vコイル |
四重極磁場コイル電源(PSQ) |
電流+50kA/-30kA 電圧±1kV |
Hコイル |
水平磁場コイル電源(PSH) |
電流±22kA 電圧±0.5kV |
DCWコイル |
- 加熱用発電設備電動発電機から給電される電源
コイル電源名 |
定格 |
接続コイル名 |
ダイバータコイル電源(PSM) |
電流+110k 電圧0.9kV |
Dコイル |
境界プラズマ層制御電源(PSEX) |
電流+10kA 電圧+1kV |
DCWコイル |
コイル電流制御系
- 特徴
プラズマ電流やプラズマ断面の位置・形状の制御は、上位計算機である全系制御設備のフィードバック制御計算機(FBCC : Feedback Control Computer)とポロイダル磁場コイル電源のサイリスタ変換器用直接ディジタル制御装置(DDC : Direct Digital Controller)により行われます。

プラズマ位置・形状制御の概念図
- DDCシステム
FBCCで算出されたコイル電圧、コイル電流目標値を受け取って、位相制御装置(PHC : Phase Controller)に対する指令値(Ec)を制御する。PHCでは、Ec値に応じたサイリスタ素子のゲートパルスを発生させ、出力電圧を制御します。
- 正負両方向コイル電流制御
プラズマを制御する場合、正負両方向にコイル電流を流さなければならない場合があります。しかしサイリスタ変換器は、単独では一方向の電流しか流せません。このため、正負両方向の電流が必要なコイルには、サイリスタ変換器を順側、逆側に接続しています。定格出力電流の10%の電流を変換器間に循環させることで、コイル電流の切換を滑らかにすることができます。
分散処理制御システム
ポロイダル磁場コイル電源の制御システムは、4種類あります。
- 運転管理系
装置・機器の運転状態の監視を行います。
- 放電管理系
各ポロイダル磁場コイル励磁のための装置・機器のシーケンス制御を行います。(たとえば、MGの再加速、遮断器入切り操作)
- サイリスタ変換器用直接ディジタル制御(DDC)系
DDCによりプラズマ制御におけるコイル電流の制御を行います。
- 保護インターロック系
装置・機器の安全・保護を行います。

ポロイダル磁場コイル電源の計算機制御システム構成図
運転管理系、放電管理、DDC系の主要部は、CAMAC規格やVME規格の電子機器とUNIXワークステーションで構成されています。
ポロイダル磁場コイル電源電動発電機
電動発電機スペック
出力 |
500,000kVA |
電圧 |
18,000V |
電流 |
16,038A |
力率 |
0.45〜0.375 |
回転数 |
582〜406.2rpm |
周波数 |
77.6〜54.2Hz |
はずみ車効果 |
5,500ton-m2 |
放出エネルギー |
1,300MJ |
駆動方式 |
電動機駆動(セルビウス駆動) |
駆動装置出力 |
7,000kW |
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