核融合エネルギー研究開発部門
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第4回若手科学者による
プラズマ研究会
平成13年2月26〜28日開催

第4回 若手科学者によるプラズマ研究会
主題:定常化研究
平成13年2月26〜28日開催
【本研究会は終了いたしました】
研究会の概要:
 第4回若手科学者によるプラズマ研究会を「定常化研究」の主題のもとに2月26−28日の日程で開催した。核融合研究もいよいよ核燃焼実験炉建設の判断を迎えようとしており、最重要課題の一つであるプラズマ定常化に対する関心もより一層高くなっている。そのような背景を踏まえて、「定常化」というキーワードを軸として各々の研究がどのような関わりを持つかを探り互いの認識を深めることを狙いとした。研究会の参加者は23名であり、各大学・研究機関の様々な閉じこめ方式より研究成果が報告された。その内訳は大学から14名、研究機関の研究員が3名、原研の若手研究者が6名であった。全発表件数は12件(大学:7件、原研:3件、核融合研:2件)であった。若手研究者にプロジェクト研究の最前線での研究課題、成果に触れてもらうことを目的として、JT-60U(原研)とLHD(核融合研)における「定常化研究」に関する特別講演を設けた。

 研究会は「LHDにおける最近の実験結果と定常プラズマ実現へのシナリオ」と題された特別講演(核融合研 宮沢)で始まった。大型ヘリカル装置LHDの第4サイクル実験で得られた最新の実験成果を中心に紹介された。蓄積エネルギー1MJを達成した放電についての詳細な報告またLHDにおける閉じ込めスケーリングに対する実効電荷との関わりに関する検討が示された。特別講演「JT-60Uにおける定常化研究」(原研 及川)では、JT-60Uにおける2つの閉じ込め改善モード(負磁気シアモード、高βpモード)による放電の長時間維持の最適化と課題についてのレヴューが行われた。両改善モードとも、(1) Hモードとの組み合わせ、(2) プラズマ形状の高三角度化、(3) 加熱・電流駆動分布の最適化、(4) ベータ値の能動的制御により高閉じ込め、高ベータを完全電流駆動状態で維持できること、高ベータの定常維持で問題となる不安定性とその回避の試みが報告された。

 一般講演は粒子制御(粒子輸送、リサイクリング、排気)、RF加熱・電流駆動、計測に大別できる。CSTN-IVトカマク(名大 小島)からは、パルス運転を高デューティーで繰り返すことによる長時間放電模擬運転において回転ヘリカル磁場によりプラズマと壁の接触面積の増大を計りリサイクリングを低減させる研究が紹介された。また、ミラー装置ガンマ10からは、軸方向及び径方向の粒子輸送解析とリサイクリングの評価に関する研究(筑波大 小林)カーボンシートポンプの開発・特性に関する報告(筑波大 石本)があった。球状トカマク装置LATEからはオーミックコイルを使わずにECRF電力のみでプラズマ生成、プラズマ電流立ち上げを行い維持する実験が報告された(京大 打田、伊神)。同じく球状トカマク装置であるTST-2ではイオン高調波速波による加熱・電流駆動に向けた初期結果の報告があった(東大 和田、山田、江尻)直線型定常境界プラズマシミュレータMAP-IIではCHラジカルの発光スペクトル測定から解離前の炭化水素分子種を特定する試みが報告された(東大 小林、梶田、門)。発光スペクトルは振動・回転励起状態を反映することを利用しており、ダイバータにおける化学スパッタリングによる炭素不純物発生過程の解明への応用が期待される。プラズマからの発光線の偏光計測から電子速度分布の非等方性を評価する試みも紹介された(京大 岩前)。RF入射プラズマにおける電流駆動や速度分布関数の非等方性に起因する不安定性の理解等に適用が期待される。CCDカメラによる接線方向軟X線画像計測によりLHDの高ベータプラズマにおける磁気面の変化の様子が報告された(核融合研 Liang)。JT-60Uからは、反射計を用いたGiant ELMによる密度ペデスタルの崩壊過程の詳細な計測(原研 大山)CO2レーザによる協同トムソン散乱法によるイオン温度測定の試み(原研 李)が報告された。前者は密度ペデスタル崩壊の様子を世界で初めて明らかにした。また後者はITERにおけるイオン温度、アルファ粒子計測として高い注目を浴びておりその成功が待たれる。

 最終日のサマリーセッションでは、各自の発表について、今後の研究の発展の方向、共通の現象の理解と課題の認識、各研究成果の相互への適用可能性について議論を行った。リサイクリングに関しては多くの装置において研究が行われており、壁の飽和や密度の制御性に関わる議論が複数装置間で行われた。MAP-IIにおけるCHラジカル分光研究に対しては、JT-60U, LHDのダイバータ部での炭素不純物発生に関わって関心が示された。また発光強度から分子数を定量的に評価できるような基礎データの確立も期待しているとのコメントもあった。最後には、核融合研究のこれからの方向性、戦略についても議論を行った。核燃焼実験装置ITERをどのように位置付けながら核融合研究全体を推し進めていくかについて意見が交わされた。大学院の学生からは、学生の核融合研究に対する興味、意欲をわかせるためには大型プロジェクトを身近に感じさせるような努力をして欲しい、との意見もあった。大型プロジェクトを率いる研究機関は、人材育成とコミュニティーとの関わりという点で耳を傾ける必要があるであろう。若手同士で核融合研究の将来について議論を交わすまでの高い問題意識を持った研究会とすることは、本研究会を始めた当初からの大きな目的の一つであった。第4回目にしてそのレベルに手を掛けることができたのではないかと自負している。