核融合エネルギー研究開発部門
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JT-60、自動制御により磁場の乱れの抑制を実現
− 核融合炉の経済性の向上に展望を拓く −
平成16年3月30日
日本原子力研究所

 日本原子力研究所(理事長 岡崎俊雄)は、臨界プラズマ試験装置(JT-60)を用い、世界で初めて、プラズマ中に発生した磁場の乱れを高周波入射の自動制御で抑制する技術を確立し、プラズマの圧力を高く維持することに成功した。世界に先駆けて得られた今回の成果は、ITER(国際熱核融合実験炉)における高プラズマ圧力化に見通しを与え、将来の核融合炉における経済性の向上に繋がる大きな貢献である。

 自己点火条件を満足する燃焼プラズマの長時間運転を目指すITERや将来の核融合炉においては、高いプラズマ圧力(温度×密度)を得て、これを定常的に維持することが必要である。プラズマの圧力が大幅に高まるとプラズマ中に局部的な電流の減少を伴う磁場の乱れが発生し、プラズマ圧力が低下しプラズマ性能が劣化することから、乱れの抑制が必須となっている。原研ではこの乱れを、電流欠損部(乱れの位置)に電流を流して補完することにより抑制することができることを平成13年に明らかにした(平成13年5月にプレス発表)。この成果によりITERにおいて、高速で径方向に変動する乱れの発生位置をリアルタイムで追跡して、高周波を局所的に入射することで乱れを効率的かつ持続的に抑制し、プラズマ圧力を高く維持する技術を確立することが次の課題となった。

 原研ではこの技術を確立するため、磁場の乱れが発生する場所において電子温度が揺らぐことに着目し、高い空間分解能の電子温度分布測定装置で取得したデータから磁場の乱れの発生位置を計算するソフトの高速処理化、及び高周波の入射位置を制御する可動ミラーの高速応答化に取り組み、両者を連動させて磁場の乱れを自動的に抑制する制御システムを新たに開発した。このシステムをJT-60で使用することにより、高い圧力のプラズマにおいて発生した磁場の乱れを自動的に抑制し、圧力を高く維持することに初めて成功した。この技術をITERに適用することにより、従来磁場の乱れにより低く制限されると予想されていたプラズマ圧力(圧力指数:1.8以下)が、磁場の乱れを回避できるようになることでITERの定常運転において目標とされる圧力(圧力指数2〜3)まで高くできる見通しを得た。更に、理論シミュレーションによりITERの燃焼プラズマに適用したところ、磁場の乱れをごく小さい段階で検出し高周波を入射することにより、抑制に必要な制御電力をより低減できることも明らかにした。将来の核融合炉においても、この高プラズマ圧力化は、発電単価の低い経済的な炉の実現に道を拓くものである。

* 圧力指数:装置パラメータで規格化したトカマクプラズマの到達圧力の指標であり、この値が高いほど、性能や効率が改善され高い経済性をもたらす。



添付資料1




添付資料2




添付資料3