核融合エネルギー研究開発部門
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JT-60で、世界最高パワーで長パルス入射に成功
− 国際熱核融合実験炉(ITER)の高周波加熱装置の実現性をさらに確実に −
平成14年3月6日
日本原子力研究所

 日本原子力研究所(理事長 村上健一)は、臨界プラズマ試験装置(JT-60)で、プラズマ性能を向上する研究のための高周波加熱装置の開発を進めてきたが、このほど、開発した周波数110 GHzの電子加熱用高周波加熱装置において世界最高パワーで長パルス入射に成功した。これにより、世界最高レベルの3億度の電子温度のプラズマを生成した。

 100 GHz以上の極めて周波数の高い高周波加熱装置は、プラズマ中の電子と共鳴して効率良く電子を加熱できるため、ITER計画において重要な加熱装置として位置づけられている。しかし、このように高い周波数においては、高周波発振源の大電力電子管内に発生する不要な高周波に起因する発熱や、伝送路等での大きな高周波損失などの問題があり、プラズマへの入射パワーが1系統当たり0.8MWのレベルでは、パルス幅が0.6秒以下に制限されていた。そこで、JT-60では、以下の2点の技術改良を図った。

    (1) 大電力電子管において、不要な高周波の発生を吸収体により抑制し、発熱の問題を解決。
    (2) 高周波の伝送系において、真空状態の特殊細管を採用する等の工夫により、約60mの長距離で従来の60〜70%に対し80%の高効率伝送を達成。

 この結果、1系統当たり世界最高パワー0.84 MWで5秒の長パルス入射と、ITERの同加熱装置における1系統当りの設計値0.8MWを超える大電力での長パルス入射を世界で初めて実証し、連続運転への見通しを得た。

 今回の研究成果はITERで計画されている電子加熱用高周波加熱装置の実現をより確実とし、世界の核融合研究開発に大きく貢献するものである。さらに今回得られた技術はプラズマ蒸着法による材料開発、セラミック焼結、有害物質の分解等への応用が期待される。