核融合エネルギー研究開発部門
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JT-60で電流ホールを世界で初めて発見
−トカマク中心部にプラズマ電流なしで核融合反応プラズマを保持−
平成13年11月1日
日本原子力研究所

 日本原子力研究所(理事長 村上健一)は、臨界プラズマ試験装置(JT-60)を用いて、1億度を超える高温プラズマ領域に、プラズマ電流の流れていない電流ホールが安定に存在することをプラズマ電流分布の精密な測定により世界で初めて発見した。

 JT-60をはじめとするトカマク型装置においては、プラズマ電流を流すことによりねじれた磁力線が形成する篭(磁力線によって作られた面)を年輪のように積み重ねて高温プラズマを閉じ込めている。理論的には磁力線の篭がプラズマの中心領域になくてもプラズマの閉じ込めが可能であることが示唆されていたが、実験的に示されたことがこれまでになく、一般にプラズマ中央部にプラズマ電流を流して中心領域に磁力線の篭を形成することが必要と考えられていた。
 これに対して、JT-60では、国際熱核融合実験炉(ITER)の定常運転方式として有力な凹状の電流分布を持つ負磁気シア方式(通常と異なり、プラズマ中央部で電流密度が低く、磁力線のねじれがプラズマ中央部で弱くなる)に関する研究を進めていたところ、プラズマ直径の約半分から外側にのみ磁力線の篭が形成され、その内側に電流の流れない電流ホールが安定に存在することを発見し、これまでの一般的な考えを覆した。併せて、この電流ホールの領域で粒子密度40兆個/cm3、イオン温度が1億度を超える高温の核融合プラズマを安定に保持できることを世界に先駆けて実証した。

 今回の発見・実証では、プラズマ電流分布を制御することにより、従来必要とされていた「プラズマ中心部でのプラズマ電流の発生」を行わなくても高性能のプラズマを保持できることが判明した。電流ホールが発見されたことで、ITERにおいて定常運転を行なう際の新しい運転方式が開発される可能性があり、将来の核融合炉において定常運転を維持するための電力を低減し炉を高出力化することが期待される。

 なお、この研究成果は、米国物理学会が刊行する物理学専門誌フィジカル・レビュー・レター誌に掲載されることが決定した。