核融合エネルギー研究開発部門
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遂にトーラス形状となる(平成30年4月)
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4月下旬にTFコイル全18体の据付けの完了という大きな節目を迎えました。

図1は18体目を設置する直前で、17体のTFコイルの設置が完了している状態です。最終部では真空容器及びVVTSも同時に据え付ける必要があり、図2のように、TFコイル、VVTS及び真空容器を一体として吊り込みました。この最後の吊り込みは4月20日に実施し、その様子は報道関係者に公開され、五つのメディアで報道されました。

図3は吊り込みが完了した状態です。遂にトーラス形状が出来上がりました。


図1. 17体目のTFコイルの設置完了


図2. 18体目のTFコイル、VVTS及び真空容器を一体として、20度分の空間から挿入する様子


図3. 遂にトーラス形状となる(平成30年4月)

バルブボックス
今回は、バルブボックス(VB)についてご説明します。JT-60SAでは、極低温の冷媒ヘリウムを複数の用途で使用します。4.4Kの冷媒ヘリウムはトロイダル磁場コイル(TFC)、平衡磁場コイル(EFC)及び中心ソレノイド(CS)の超伝導導体の冷却に、3.6Kの冷媒ヘリウムはダイバータ排気のためのクライオポンプで使用します。また、比較的高温である50Kの冷媒ヘリウムは、高温超伝導電流リード(超伝導体と常温導体の接続に使われる機器)の高温端の冷却に、80Kの冷媒ヘリウムは極低温機器への熱侵入を抑制するサーマルシールドに用います。これらの冷媒ヘリウムは4.5K換算9kWの巨大な冷凍機で製造しますが、適切な流量管理を行わないと上記の需要に対応できません。JT-60SAには、そのような流量管理を行うバルブが多数あります。このようなバルブを収めたものがVBです(図4, 5)。VBは内部に設置された温度・圧力・流量の計測素子及びバルブによって、冷媒ヘリウムの状態を監視し、機器への分配を調整します。冷媒ヘリウムの温度は、配管に設置された抵抗素子の抵抗を測ることによって計測します。JT-60SAでは温度域や要求精度によって、白金、炭素、ジルコニウム酸窒化物といった異なる材質の抵抗素子を用います。流量は、配管内に設置されたオリフィス板(中央に小さな穴の空いた板)の前後の圧力差を測定することによって算出します。流量の調整に用いるバルブには、室温部から冷媒ヘリウムへの熱侵入を低減するため、室温部から極低温部までの弁軸が長い(600∼800mm)特殊なものを使用しています(図6)。


図4. 配置されたVBとその用途




図5. 那珂核融合研究所に納品されたVB01, VB02, VB05

図6. 低温バルブの模式図

2体のTFコイルの空輸(平成30年2月)
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超伝導トロイダル磁場(TF)コイルは、平成28年からこれまで順次船舶により日本に輸送され、現在14体までの据付けが完了しています(図4)。冷凍機を用いた18体目のTFコイルの冷却・通電試験が、1月26日にフランスCEAサクレー研究所にて完了しました。組立作業の促進の一環として、最後の2体が、空輸されることになりました。 TFコイルは高さ7.5m幅4.6m、重量20トンの巨大な機器で、輸送のための台枠を含めると高さ9.3m幅5.6m、重量34トンにもなるため、通常の輸送機には積み込めません。そこで、世界に56機しかない世界最大級の輸送機アントノフ(An-124型機、図2)をチャーターすることとしました。さらに、その大きさ故に、日本における空港から那珂研までの輸送経路を考慮し、到着空港を中部国際空港に設定しました。

当輸送機An-124は、2月15日にフランス・ヴァトリー国際空港にてTFコイルを図3のように積載して出発し、途中、トルクメニスタンと中国にて燃料補給に立ち寄った後、中部国際空港に無事2月17日の早朝に到着しました。

中部国際空港での着陸、荷降ろし(図4)、船積み(図5)の模様は、ほぼ一日に渡り、ニコニコ生放送によりネット生配信されました。多くの視聴があり、最終的な視聴は、5万を超えました。

その後、2体のTFコイルは、海路にて2月19日に日立港に到着し、2月21日に那珂研に到着しました。据付け前の調整後、順次据付けを進めて行きます。


図1. JT-60SAトカマク本体へ据付けを完了した14体のトロイダル磁場コイル

図2. 中部国際空港に到着した輸送機アントノフAn-124型機 図3. 機内に格納されたTFコイルのスケルトン図。格納時はシートに梱包されている。
図4. 輸送機An-124からの荷降ろしの様子 図5. 整流器棟室内に敷設されたポロイダル磁場コイル用アルミ導体

超伝導コイルのための大電流フィーダー(平成30年2月)
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JT-60SAでは、トロイダル超伝導磁場コイルに25.7kA(連続通電)、ポロイダル超伝導磁場コイルに20kA(220秒.通電、30分周期)もの直流大電流を供給します。コイル巻線には発熱のない超伝導線を用いていますが、超伝導コイルと電源の接続には、取り扱い易さとコスト抑制の観点から通常のアルミ導体を使用しています。導体断面は、放熱・発熱や電圧降下の低減も考慮して長方形を採用していますが、大電流を扱うため、トロイダル磁場コイル用が 7cm×94cm、ポロイダル磁場コイル用が 7cm×33cm と非常に大きな断面としています。このような大電流を扱う大きな剛体の接続機構には、発熱による熱伸び等による位置ずれを考慮した工夫が必要です。そこで接続部には、薄板を何層にも溶接して柔軟性を高めたフレキシブル導体を製作しました。このフレキシブル導体は、アルミ導体と電源機器(図1)及びアルミ導体同士(図2)を接続する箇所で用いられています。

トロイダル磁場コイル電源は、トカマク本体室の隣接建屋に設置していますが、ポロイダル磁場コイル電源は離れた建屋に設置しているため、コイル10セット分にあたる合計20本の導体を建屋間に渡って新たに敷設しました。(図3)

平成26年8月から開始したこの敷設工事は、本年2月にすべて完了し、電源から本体室までの全長約5300m(総重量 330t)を接続しました。このように那珂核融合研究所では、電源本体の製作のみでなく、周辺設備の整備も予定どおり進行しており、2020年のファーストプラズマに向けて着々と準備を進めています。


図1. アルミ導体とトロイダル磁場コイル用電源の接続


図2. 整流器棟室内に敷設されたポロイダル磁場コイル用アルミ導体


図3. 整流器棟とトカマク本体室を繋ぐ屋外導体設備

12体目のトロイダル磁場コイルの設置(平成29年9月)
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トロイダル磁場コイルは、昨年の12月から組み込み作業を開始し、現在写真左のように12体を設置しました。

トロイダル磁場コイルが作る磁場はトカマク装置において最大の磁場成分を持つため、プラズマの性能に影響を与える誤差磁場を十分に抑えるように精度良く設置する必要があります。そこで、写真右のようにレーザートラッカーを使用して設置を行っています。その結果、±1mm以下の高い位置精度(トロイダル磁場コイルの高さは約7m)での設置ができています。


12体のトロイダル磁場コイルを設置

レーザートラッカーを用いた
位置決めの様子

最終段階を迎えたクライオスタット胴部の製作(平成29年8月)
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超伝導コイルの冷却システムの負荷を抑え、経済的な運転を行うため、超伝導コイルを回りの高温(室温ですら高温)環境から隔離する機構が必要になります。そのために設けるのが、サーマルシールドと真空断熱を利用するクライオスタットです。クライオスタットはJT-60SAの全ての超伝導コイルを覆うため、加熱機器以外の全体を覆う非常に大きな真空機器となります。

クライオスタットは、底部、胴部及び上蓋部で構成されています。この内、底部と胴部の製作は欧州・スペインのCIEMAT研究所が担当しています。底部は、JT-60SAの本体室に最初の構造物として2013年3月に据え付けられました。2017年8月、クライオスタット胴部が製作の最終段階を迎え、スペインの工場で製作精度の確認を実施しました。

8分割された胴部下部及び4分割された上部をそれぞれ組み立てた後、上部を下部にのせ、全体を仮組みし、写真上のように高さ約11m、直径約14mの巨大な全容が現れました。そして、レーザートラッカー計測器などを用いて、製作精度が許容範囲(例えば直径フランジ部にて5mm以下)に入っているか計測しました(写真下参照)。


仮組みされたクライオスタット胴部の全容


クライオスタット胴部の寸法測定の様子

欧州との密接な協力体制のもと、据付調整作業が順調に進展(平成29年3-4月)
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欧州調達の超伝導コイル用電源機器の据付調整と日本側の既存設備の整備を順調に進めています。JT-60SAでは、既存のフライホイール付き電動発電機(H-MG)から、欧州調達の直流電源(サイリスタ整流器)を介して、中心ソレノイド及び平衡磁場コイルに給電します。2016年6月に搬入されたフランス調達の4ユニットの平衡磁場コイル用直流電源は据付作業が完了し、5月から7月にかけて実施予定である通電試験の準備を進めています。これらの作業は、F4E及びCEAの監督のもとで、製作元であるスペインJema社の指導員と国内の下請け業者が実施しています。通電試験では、既存設備の常伝導模擬負荷コイルを用いて直流電源の定格である20kA通電での健全性を確認します。日本側の整備では、2015年10月より開始したH-MGのオーバーホール(写真左)と周辺設備の点検整備を3月に終了し、動特性回転試験及び励磁試験に成功しました。4月には欧州側スタッフとの協力のもと、通電試験の前段階として、H-MGから直流電源への受電試験を実施しています。

また、残りの電源機器の調達も並行して進めており、3月にはイタリアENEA調達分の中心ソレノイド用及び高速位置制御コイル用の直流電源と変圧器が、それぞれ2ユニット到着しました。同じくイタリアENEAが調達した中心ソレノイド用プラズマ着火用高電圧発生回路(スイッチングネットワークユニット(SNU-CS)と呼ばれる)の受入試験を3月に完遂しました(写真右)。JT-60SAの中心ソレノイドでは、直流電源と直列にSNU-CSが接続されます。20kAの初期励磁の後にSNU-CSが動作し、内部の抵抗器に電流が流れると、抵抗での電圧降下の分だけ最大5kVの逆起電力が中心ソレノイドに誘導され、プラズマ着火に必要な周回電圧が発生します。受入試験では、F4E及び製作元のイタリアOCEM社と量研機構の職員により、仮設の直流電源と模擬負荷コイルを用いて5kV誘起における健全性を確認できました。

今後は欧州機器と日本側設備を組み合わせた通電試験を本格的に実施していきます。


ホイール付き電動発電機(H-MG)の
オーバーホール(固定子の引き抜き作業)

受入試験を完遂した中心ソレノイド用
スイッチングネットワークユニット(SNU-CS)

JT-60SAのフランス及びイタリアによる超伝導トロイダル磁場コイル製作と
日本による同コイル組立開始を披露する式典を開催(平成29年1月12日)
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平成28年の12月より、フランス及びイタリアが製作を担当している超伝導トロイダル磁場コイルのJT-60SAへの据付作業を開始しました。加えて、超伝導コイルの冷却を担う機器である核融合用としては世界最大級のヘリウム冷凍機システムの動作試験運転が成功裏に終了し、所有権が製作と組立を担当したフランスの原子力・代替エネルギー庁(CEA)から量子科学技術研究開発機構に移りました。

これらの重要なマイルストーンへの到達を披露するために、式典及び見学会を開催しました。水落文部科学副大臣並びにトーマス欧州委員会副総局長をはじめとし、駐日欧州連合代表部などの日欧関係者約147名にご参加頂くとともに、多くのご来賓の方々からお祝いの言葉とご期待を賜り、式典を盛況にとり行うことができました。なお、この式典及び見学会の様子は各報道機関にも興味深く取材していただき、NHKをはじめとする5つの報道機関で取り上げられました。


式典参加者の記念撮影 (式典会場にて)

トロイダル磁場コイルの組立開始(平成28年12月)
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340度分のVVTSの組立完了を受けて、トーラス型閉じ込め装置の最重要コンポーネントであるトロイダル磁場コイル(TFC)の組立を開始しました。また、専用の起立架台を用いてTFCを起立させ、自重変形させた後に計測を行いました。変形はプラズマの性能を劣化させる誤差磁場の要因となるため、組立では、レーザートラッカーによる計測とジャッキによる位置合わせによって変形を修正しながら設置を進めます。開口部からトーラス方向に180°回し込み所定の位置に移動を完了しました。


起立したTFC-10

組立クレーンを用いた一体目TFCの所定位置
(開口部の反対側)への移動の完了

真空容器のサーマルシールドの340度分の設置完了(平成28年9月)
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超伝導コイルは運転時、極低温(4K)に冷却されますが、その極低温状態を維持するためには、周りからの熱侵入を抑える必要があります。JT-60SAでは、サーマルシールドと呼ばれる板厚3mmのステンレス二重構造内に配管を張り巡らした熱遮へい板を設置し、運転時は配管に80Kのヘリウムガスを循環させ冷却することで、超伝導コイルへの熱侵入を抑えます。真空容器サーマルシールド(VVTS)は、主に真空容器(運転時は常温)からの熱輻射を遮断します。平成27年1月に開始したVVTSの組立がトロイダルコイルを回し込むために必要な開口部の20度セクター分を残し、設置が完了しました。なお、最終セクター用のVVTSについても仮設置して両隣のセクターとの接続状態を調査し、問題のないことを確認しました。


組立てが完了したVVTS

平衡磁場コイルの完成(平成28年8月)
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JT-60SAでは18機の超伝導トロイダル磁場コイルを欧州が製作し、6機の超伝導平衡磁場コイル(EFコイル)と1機の超伝導センターソレノイドを日本が製作します。EFコイルのうち、プラズマの下側に配置される3機(EF4, EF5, EF6)は既に完成し、JT-60本体室にて340度分の接続が完了している真空容器の下側に仮設置しています。今回、残りの上側に設置する3機の平衡磁場コイル(EF1, EF2, EF3)が8月に完成しました。

EF1(外径12.0m、重量27トン)、EF2(外径9.6m、重量27トン)、EF3(外径4.4m、重量21トン)は、那珂研の巻線棟で平成26年7月から製作してきました。特に、EF1はJT-60SAでは最大のコイルになります。これらの大型の超伝導コイルは、製作精度±0.2mm以下と非常に高精度に製作できました。これらのコイルは、TFコイルの組込みが完了し、真空容器の残り20度分の最終セクタが接続された後、組立室へ搬入し、JT-60SAに組み立てる予定です。


製作が完了し組立を待つ上側EFコイル3機

欧州製トロイダル磁場コイルの那珂研搬入(平成28年7月)
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那珂核融合研究所では、JT-60SAの建設が進展しています。今回、欧州調達の超伝導トロイダル磁場コイル(TFコイル)を那珂研に搬入しました。

JT-60SAは、18機のTFコイルを有しており、連続通電を可能とする超伝導導体NbTiを用いて製作しています。これらの製作は欧州が担当(フランスとイタリアで半数ずつ)し、組立は日本が担当しています。今回、欧州調達のTFコイルのうち、フランスが製作を担当している1号機と2号機を、海上輸送を経て到着した日立港から那珂研へそれぞれ7月20日と8月25日に輸送・搬入しました。TFコイルは欧州を発つ時点で、女性名が命名されることになっており、1号機はANNIE(アニー)、2号機はBRIGITTE(ブリジット)となっています。

1号機が搬入された直後の7月26日には、「フランスが調達するJT-60SA機器の搬入、据付、調整運転の着実な進捗を祝う会」を那珂研で開催し、日仏の関係者一同にて、TFコイルの搬入開始を祝いました。


那珂研に搬入された仏調達TFコイル1,2号機


仏調達機器の進捗を祝う会にて,TFコイル1号機を前に記念撮影

欧州製超伝導コイル用直流電源の到着(平成28年6月)
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那珂核融合研究所では、欧州調達機器の搬入が進んでいます。今年の6月末には、フランスが調達した超伝導コイル用直流電源が那珂核融合研究所に搬入されました。

今回の搬入された直流電源は、トロイダル磁場コイルと、ポロイダル磁場コイルのうち4つの平衡磁場コイルに接続する合計5ユニットのサイリスタ式直流電源になります。トロイダル磁場コイル用電源は、最大電圧/電流は80V/25.7kAの単極性出力で連続通電が可能です。平衡磁場コイル用電源は、最大電圧/電流は1kV/20kAの両極性出力で、30分ごとに220秒の通電が可能です。これらの電源は、クエンチ保護回路を介して、それぞれの超伝導コイルに接続されます。また、平衡磁場コイルはさらに、プラズマ着火時に必要な高電圧を発生させるスイッチングネットワークユニットまたは、ブースター電源が接続されますこれらの搬入を受け,現地据付け作業および受入れに向けた試験が今後実施されます.


那珂核融合研究所に到着した欧州製超伝導コイル用直流電源

真空容器サーマルシールド組立開始(平成28年2月)
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平成26年5月に開始した真空容器の接続が340度分完了したこと、および真空容器サーマルシールドの組立を開始したことなどのJT-60SA建設の進捗を受け、2月3日に報道機関を対象とした施設見学会を那珂核融合研究所にて開催しました。

今回組立を開始した真空容器サーマルシールドは、JT-60SAの超伝導コイル(中心ソレノイド1個、平衡磁場コイル6個とトロイダル磁場コイル18個)を取り囲むように設置するサーマルシールドのうち、真空容器側に配置するものです。超伝導コイルは運転時、極低温(4K)に冷却されますが、その極低温状態を維持するためには、周りからの熱侵入を抑える必要があります。JT-60SAでは、サーマルシールドと呼ばれる板厚3mmのステンレス二重構造内に配管を張り巡らした熱遮へい板を設置し、運転時は配管に80Kのヘリウムガスを循環させ冷却することで、超伝導コイルへの熱侵入を抑えます。真空容器サーマルシールドは、主に真空容器(運転時は常温)からの熱輻射を遮断します。

また今回、真空容器内部の拘束治具を撤去したことにより、真空容器の内部が公開できました。この真空容器内部という巨大な空間では、各報道機関の興味深く撮影される様子が印象的でした。この見学会の様子は、6つの報道機関で取り上げられました。


組立を開始した真空容器サーマルシールド


真空容器内部を撮影する報道機関関係者

JT-60SA真空容器最終セクターの仮合わせ(平成27年12月)
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平成26年5月から開始したJT-60SA真空容器の340度組立作業が平成27年8月に完了しています。今回、真空容器サーマルシールド(VVTS)およびトロイダル磁場コイル(TFC)を廻し込むために確保してある真空容器の最終20度セクターを仮合わせし、位置計測を行いました。

JT-60SAの組立では、18個あるTFCのうち17個分を設置したあと、18個目のTFC、VVTSそして真空容器20度セクターを三位一体とした最終セクターとして挿入し接続します。最終セクターの両端は、幅70-110mmのスプライスプレートを介して、真空容器340度分と溶接接続します。また、今回の仮合わせで得られた計測データをスプライスプレートの形状に反映させカスタマイズします。今回は仮合わせですが、真空容器360度分のトーラス形状を垣間見ることができました。今後、組立が進むと、真空容器のみでこのような姿を見ることはできないため貴重な姿と言えます。


真空容器20度セクターを仮合わせし、360度になった真空容器

本体組立用旋回クレーンの設置と真空容器拘束治具の解体(平成27年10月)
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昨年5月から開始したJT-60SA真空容器の340度組立作業は8月に完了しています。10月には、真空容器サーマルシールド(VVTS)およびトロイダル磁場コイル(TFC)の組立に使用する旋回クレーンを組立架台上に設置しました。VVTS及びTFCは、真空容器の20度開口部から廻し込みながら組み立てます。旋回クレーンの定格荷重は30トンであり、荷を吊り上げた状態で360度旋回し、また、ガーター上を水平に移動できます。今後、この旋回クレーンを使用して、VVTSおよびTFC組立を効率良く進めて行きます。

また、真空容器の340度接続完了を受け、真空容器の内側に固定してあった拘束治具の解体を進めています。この拘束治具は、真空容器セクター起立時の変形やセクター間溶接時の変形を抑えるために真空容器セクターを内側から固定するものでした。拘束治具の解体では、真空容器の変形量を慎重に確認しながら進め、真空容器340度の両端のみを残し完了しました。拘束治具解体後の真空容器内には広々とした空間が広がり、JT-60SAプラズマの規模を彷彿とさせます。


本体組立で使用する旋回クレーンの設置が完了


真空容器拘束治具の解体後の様子

TFC用高温超伝導電流リードの完納(平成27年10月)
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JT-60SA超伝導コイルへの給電は、室温側の電源から行うため、室温と極低温(4.5K)の取合いが必要になります。JT-60SAでは、最大約26kAのコイル電流を、50Kに冷却された高温超伝導材Bi-2223/AgAuを用いた高温超伝導電流リードを介して給電します。この高温超伝導電流リードは欧州調達となっており、ドイツのカールスルーエ工科大学(KIT)が製作を担当しています。TFC用6本のうち2本が今年3月に那珂研に輸送されており、今回10月に残りの4本が輸送され、TFC用高温超伝導電流リード全6本が完納されました。今後これらをTFC用コイル端子箱の製作受注者に支給します。残りのポロイダル磁場コイル用の20本については、来年度以降納入される予定です。


TFC用高温超伝導電流リードが完納

JT-60SA真空容器340度の完成(平成27年8月)
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昨年5月から開始したJT-60SAの真空容器の340度組立作業が完了しました。JT-60SAの真空容器は、薄肉(18mm)の低コバルトステンレス(SUS-316L)を用いた二重壁構造しており、10体に分割したセクター(20度セクター×1体、30度セクター×2体、40度セクター×7体)をクライオスタットベース上で溶接接続していました。今回、トロイダル磁場コイル等を廻し込むための20度分を除いた340度分の溶接接続が完了しました。

これらのセクターは、直接溶接またはスプライスプレートを介した溶接接続により、1体の120度ブロック(40度セクター×3体)と2体の110度ブロック(40度セクター×2体+30度セクター)としてまず組立て、その後これらの3体のブロック間をスプライスプレートによって接続しました。スプライスプレートは幅約70〜110mmであり、セクターの製作・設置状況に応じて、個別にカスタマイズすることで、真空容器の製作誤差と溶接による熱変形を吸収し、トロイダル方向にできるだけ真円形状を確保するようにしています。今回この接続作業が完了し、真空容器340度が完全に接続されました。今後、真空容器サーマルシールドの組立を予定しています。


接続溶接前のスプライスプレートを取り付けた真空容器


340度の溶接接続が終了したJT-60SA真空容器

極低温システムHeバッファータンク据付完了(平成27年5月)
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JT-60SAでは、閉じ込め磁場を長時間発生させるために超伝導コイルを採用しており、このためコイル冷却用の極低温システムもあわせて準備しています。この極低温システムは欧州が調達するものであり、今年4月にはフランスから世界最大級のヘリウム冷凍機が搬入され据え付けられました。さらに5月には、Heバッファータンク(重さ70トン、直径4m、長さ22m、合計6本)を輸送し据付けを完了しました。このHeバッファータンクは、海上輸送の後、日立港で荷揚げされ、那珂核融合研究所まで一般道を深夜に交通規制しながら搬送したものです。据付けでは550トンクレーンで吊りおろしました。大がかりな搬送・据付作業ですが、約2週間で完了しました。


据付けの完了したHeバッファータンクと550トンクレーン

JT-60SAの欧州による主要機器搬入及び現地作業開始並びに真空容器の初期組立完了を披露する式典の開催(平成27年4月)
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今年4月20日に、藤井文部科学副大臣並びに欧州連合駐日大使をはじめとする多くの日欧関係者約200名に参加頂き、JT-60SAの進捗状況を披露する式典及び見学会を開催しました。

JT-60SA計画では、欧州が機器を製作して那珂研に搬入するだけでなく、その据付作業も担います。このほど、イタリアから最初の超伝導コイル用電源、フランスから核融合用としては世界最大級のヘリウム冷凍機システムが那珂研に搬入され、その据付作業が開始されました。加えてドイツから超伝導コイルに電流を供給する高温超伝導電流リードも搬入されました。これにより、平成25年1月のスペインからのクライオスタットベースの搬入と合わせ、欧州の全ての参加国からの機器搬入が始まりました。一方、クライオスタットベース上では、日本による組立作業として、このほど初期組立段階である340度までの真空容器の設置を終了しました。今回の式典では、これらの進捗を披露するとともに、多くのご来賓の方々からのお祝いの言葉とご期待を賜り、盛況のうちに終了することができました。


式典に参加頂いた来賓の方々(式典会場にて)

JT-60SA真空容器340度分のクライオスタットベース上への設置完了(平成27年1月)
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平成26年5月から開始したJT-60SAの真空容器組立作業が、JT-60本体室で順調に進展しています。今年1月にはクライオスタットベース上に9体の真空容器セクター(340度分)の設置が完了しました。残りの20度分のスペースは、極低温冷却される超伝導コイルと常温で運転する真空容器の間を熱を遮る真空容器サーマルシールドおよび、欧州調達分のトロイダル磁場コイル18個を廻し込むために確保してあります。今後、設置完了したこれらの真空容器セクター間を引き続き溶接にて接続します。今年の秋には、真空容器サーマルシールドの廻し込み作業が開始される予定です。


クライオスタットベース上へ設置された9体の真空容器セクター(340度分)

JT-60SA真空容器組立の進捗とクエンチ保護回路の搬入(平成26年11月)
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真空容器セクター7体目の組立開始
今年5月から開始したJT-60SAの真空容器組立作業が、JT-60本体室で順調に進展しています。すでに完成した10体の真空容器セクターを順次、クライオスタットベース上に設置し、セクター同士の溶接を行います。今年11月には、7体目となる真空容器セクターをクライオスタットベース上に設置し、真空容器280度が揃いました。この組立作業は340度まで行い、その後、残りの20度分のスペースからトロイダル磁場コイル(欧州分担)を回し込んだ後、最後のトロイダル磁場コイルと一緒に360度に完成する予定です。


組立中の7体の真空容器セクター(280度分)

クエンチ保護回路の搬入
JT-60SA本体の組立作業と並行して周辺機器の整備も順調に進んでいます。今年9月には、クエンチ保護回路と呼ばれる機器がイタリアから搬入されました。超伝導コイルでクエンチが発生した場合に、プラズマ放電を停止するとともに、コイルに蓄えられていた磁気エネルギーを開放させる必要があります。クエンチ保護回路は、コイル電流をダンプ抵抗に転流させて安全に磁気エネルギーを熱エネルギーに変換します。このクエンチ保護回路は、今後、新設するトロイダル磁場コイルおよびポロイダル磁場コイル電源に接続される予定です。


イタリアから搬入されたクエンチ保護回路

JT-60SA真空容器組立開始(平成26年5月)
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那珂核融合研究所では、超伝導トカマクJT-60SAの組立作業が本格化しています。今年5月からプラズマを閉じ込める真空容器の組立作業をJT-60本体室で開始しました。

JT-60SAでは、内部を超高真空に保った真空容器でプラズマを閉じ込めます。真空容器は、外径10mのドーナツ型、断面は横直径3.5m、縦直径6.6mのD字型をしており、厚さ18mmのステンレス(SUS316L)製の二重構造、その総重量は150トンと非常に大きな構造をしています。そのため、360度分を分割したパーツ(セクター)ごとに、真空容器組立棟にて平成23年4月より製作してきました。今年4月までに10セクターすべて(20度セクター×1体、30度セクター×2体、40度セクター×7体)が完成しています。これら10体のセクターは最新の溶接技術を駆使して、現地にて接合・組み立てます。今回、真空容器の2セクターをクライオスタットベース上に設置しました。この様子は、6月4日に報道各社の取材陣に公開しました。今後、残りの8セクターについても、最終の20度セクターを残して順次組立を行い、340度(9セクター)接続した後に、欧州調達分のトロイダル磁場コイル等の組立が開始される予定です。


2体目真空容器セクターのクライオスタットベース上への設置作業の様子


クライオスタットベース上に設置された2セクター分の真空容器

JT-60SA超伝導平衡磁場コイルの搬入と仮設置(平成26年1月)
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那珂核融合研究所では、超伝導トカマクJT-60SAの組立作業が本格化しています。今年1月中旬に、プラズマの位置や形状を制御する平衡磁場コイル(EFコイル)の本体室への搬入と仮設置を行いました。

JT-60SAのEFコイルは全部で6個あり、真空容器の下側に配置する3つのEFコイル、EF4(外径4.4m、重量30t)、EF5(外径8.2m、重量23t)、EF6(外径10.5m、重量33t)が昨年12月までに完成しました。このうちEF5とEF6は大型であることから那珂核融合研究所で製作を進めてきました。完成した三つのEFコイルは、今年1月15日、18日、22日の3回に分けて実験棟へ搬入され、既に設置したクライオスタットベース上に仮設置されました。世界最大級サイズの超伝導コイルEF5とEF6は、専用の輸送治具を用いて起立させ、縦長の搬入口より搬入しました。1月22日の搬入は報道各社の取材陣が見守るなか行われ、無事終了しました。平成26年度は、既に10体に分割されて完成している真空容器のクライオスタットベース上での組み立てが開始される予定です。


世界最大級サイズの超伝導平衡磁場コイルEF6の実験棟組立室搬入の様子


クライオスタットベース上に仮設置された超伝導平衡磁場コイル(EF4、EF5、EF6)

JT-60SAの欧州製作機器の初搬入と組立開始を披露する式典を開催(平成25年3月25日)
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那珂核融合研究所では、日欧の国際計画であるサテライト・トカマク計画とトカマク国内重点化装置計画の合同計画として、JT-60を超伝導装置であるJT-60SAに改修する計画を進めています。欧州からの最初の大型機器である装置の土台部分(クライオスタットベース)が那珂核融合研究所に到着し、JT-60SAの組立が開始されたことを披露する式典を3月25日に開催しました。

福井照文部科学副大臣、カルメン・ヴェラ 科学技術担当副大臣の代理であるエンリケ・アソレイ駐日スペイン大使館公使参事官、榊真一茨城県副知事、海野徹那珂市長をはじめ、国内外から100名のご来賓の方々のご臨席を賜りました。また本体室では、ご来賓の方々が見守る中、クライオスタットベースのボルト締結式が行われました。


ボルト締結式後の記念撮影

超伝導トカマクJT-60SAの組立を開始(平成25年1月28日)
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那珂核融合研究所では、日欧の国際計画であるサテライト・トカマク計画とトカマク国内重点化装置計画の合同計画として、JT-60を超伝導装置であるJT-60SAに改修する計画を進めています。平成19年よりJT-60SA関連機器の設計・製作を欧州と共同で行ってきましたが、このたび欧州からの最初の大型機器である装置の土台部分(クライオスタットベース)が那珂核融合研究所に到着し、JT-60SAの組立が開始されました。

直径12m、高さ3m、重さ280tのクライオスタットベースは、7分割されて欧州から輸送されました。横幅が6mを超える部品もあり、主要国道を封鎖しながら7回に分けて那珂核融合研究所へ輸送しました。そして、1月28日に大勢の報道関係者などが見守る中、JT-60SAの組立作業が開始されました。今後約6年間かけて組立を行い、平成30年度からJT-60SAの運転を開始する予定です。