核融合エネルギー研究開発部門
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 英字 
βN
トカマクプラズマのベータ値の上限値はプラズマ電流に比例し、環状磁場強度とプラズマ小半径に反比例することが、広範な理論計算により示されている。その比例係数を規格化ベータ値と称し、βN(normalized beta value)と記す。このβN 値が高いほど、高性能・高効率な炉心プラズマが設計可能となる。
ECH(Electron Cyclotron Heating)
電子サイクロトロン周波数帯の波を用いた高周波プラズマ加熱方式。周波数が100GHz帯であることから、波長がミリ・メートルのオーダーとなり、比較的容易な方法で伝送が可能で、プラズマへの入射装置(結合系)が、単純化できる。
ELM(Edge Localized Mode)
MHD不安定性によって引き起こされる緩和振動で、ミリ秒以下の早い時間スケールで、プラズマ周辺部から粒子とエネルギーの損失をもたらす現象。ELMはプラズマを定常に保つために必要であるが、間欠的に吐き出される大きなエネルギーがダイバータ材を損耗することが懸念されており、小振幅のELMに制御するための研究が精力的に行われている。
GEKKO-XII
昭和58年に大阪大学でレーザー核融合研究用に開発建設された当時世界最高出力(レーザー波長1ミクロンで出力30kJ)の12ビームのガラスレーザー装置。世界で初めて固体の600倍の密度を持つプラズマの発生に成功し、レーザー核融合の基本原理(高密度圧縮)を実証した。
Hモード
加熱入力があるしきい値を越えた時にプラズマ表面付近で急激に温度・密度が高い分布に遷移し、エネルギー閉じ込め時間が改善する閉じ込め状態をいう。このような性質のプラズマは、ダイバータを持つASDEXトカマク(ドイツ)で中性粒子ビーム入射によるプラズマ加熱実験を行っている際に発見された。その後、リミタ配位、高周波を用いた加熱実験、ジュール加熱プラズマ、さらにヘリカル型装置においても同様の現象が観測されている。これに対し、このような閉じ込め改善を伴わない放電状態をLモードという。
IFMIF計画
International Fusion Material Irradiation Facility(国際核融合材料照射施設)の略。DT核融合炉の構造材料は、核融合反応で発生した14MeV中性子での照射に曝される。このような核融合炉条件に近い環境での材料特性試験が行えるIFMIFの建設計画が、IEA協力の下で進められている。IFMIFでは、リチウムターゲットに重陽子ビームを照射し14MeV近傍の中性子を発生させる。
JFT-2M(JAERI Fusion Torus-2M:高性能トカマク開発試験装置)
中型トカマク装置として、数多くの成果を挙げたJFT-2を改造して、非円形断面プラズマによる先進的研究を可能とした装置。平成15年度末で運転を終了した。(図参照)
JT-60
臨界プラズマ試験装置JAERI Tokamak-60の略称であり、日本原子力研究開発機構 那珂核融合研究所で稼働していた世界最大級のトカマク装置である。現在、JT-60SAに改修中。米国のTFTR(シャットダウン)、欧州のJET装置と併せて3大トカマクといわれた。JT-60で達成された5億度を越える世界最高温度は、ギネスブックにも登録されている。(図参照)
KrFレーザー
レーザー核融合方式の爆縮レーザーの一種。ガラスレーザーに比べて、吸収効率が高い紫外光(0.25ミクロン)を発生する、高効率・高繰り返し動作が可能、超均一照射や超端パルス増幅が可能、等の利点を有している。
MHD(Magneto Hydro Dynamics)
電磁流体力学。プラズマを一流体で記述するモデルであり、このモデルでは電子とイオンの独立性が現れない。
MHD不安定性
磁場中のプラズマでは、プラズマの圧力が高まったり、閉じ込め磁場の強さが不均一であったり、あるいは磁場の形状が良くなかったりすると(例えば、磁力線がプラズマに向かって凹状)、プラズマ中で発生したわずかな振動が成長して、大規模な乱れとなる。これらの原因による振動の成長を磁気流体的(MHD)不安定性という。
MHD平衡
プラズマは、マクロには電磁流体(Magneto-Hydro-Dynamics:MHD)として振舞う。流体方程式とMaxwell方程式を連動させたMHD方程式系において、力のバランスが取れた状態をMHD平衡という。
NBI(Neutral Beam Injector:中性粒子入射加熱装置)
高エネルギーで電気的に中性な粒子ビーム(水素原子、重水素原子ビーム)を核融合炉心プラズマに打ち込みプラズマを加熱等する装置。最初にイオンビームを発生加速し、それを荷電交換反応等を利用して中性な粒子に変換して入射する装置。
N-NBI(Negative-ion-based - Neutral Beam Injector)
負イオンを用いた中性粒子ビーム入射装置。正イオンでは、数百keV以上の高いエネルギー領域では中性化効率が極度に低下してしまい、中性粒子が得られない。しかし、負イオンでは、高いエネルギーにおいても中性化効率60%が得られる。このため、200keV以上の中性粒子ビーム入射装置では負イオンを用いることが不可欠である。ITERでは、加熱・電流駆動用に1MeVのN-NBIが設計されている。(図参照)
SSTR
75%を自発的に発生する電流でプラズマ電流を担う定常トカマク型核融合動力炉Steady State Tokamak Reactorの略称であり、概念設計がなされている。(図参照)
W型ダイバータ
プラズマを受けるダイバータ板、中性粒子を遮蔽するバッフル板などが真空容器内の下部にW字形に配置されたダイバータ。JT-60に取り付けたW型ダイバータにより、ヘリウム灰の排気や不純物混入の抑制による長時間運転の見通しが立つ成果が得られた。ITERにおいても同形式のダイバータが適用されている。(図参照)

 数字 
14MeV中性子
DT核融合反応では3.5MeVのα粒子と14MeVの高速中性子が発生する。α粒子はプラズマ加熱に供するのに対し、高速中性子はプラズマ閉じ込め容器である第一壁やブランケットに直接照射し、発電ブランケットのエネルギー源、及びリチウムと反応してトリチウム生成の役割を担う。なお14MeV中性子は、第一壁材料等の放射化も引き起こす。

 あ行 
アルファ(α)粒子加熱
重水素と三重水素の融合反応で発生する3.5MeVのエネルギーを持つアルファ粒子(ヘリウム原子核)によるプラズマの加熱。アルファ粒子は電荷を持つため磁場に閉じ込められ、そのエネルギーは衝突によって徐々にプラズマ粒子に移される。その結果プラズマが加熱される。
安全係数(q値)
トカマクのようなトーラス装置では一般にポロイダル磁場(小円周方向の磁場)とトロイダル磁場(大円周方向の磁場)が存在し、トーラス・プラズマを囲むらせん状の磁力線をつくる。この磁力線が小円周方向に一回転する間に、大円周方向に何回回転するかを表す量を安全係数(q値)という。q値が大きいほど安定の度合いが高まるので、安全係数と名付けられた。安全係数とプラズマ電流は反比例関係にある。
エネルギー増倍率
核融合反応による出力とそのプラズマ状態を維持するためにプラズマに直接供給される外部からの入力の比。エネルギー利得ともいい、Qで示される。この値が1のときを臨界プラズマ、無限大のときを自己点火と呼ぶ。JT−60は平成10年6月にこの値が1.25の世界最高値を達成した。
エネルギー閉じ込め時間(閉じ込め時間)
プラズマに蓄積されているエネルギーをプラズマ加熱パワーで割った量で定義され、閉じ込め性能を表すパラメータの一つ。エネルギー閉じ込め時間は、温められたプラズマが冷えてゆく時定数に対応しており、エネルギー閉じ込め時間が長いほど閉じ込め性能が良い。エネルギー閉じ込め時間は、プラズマ維持時間(放電時間)とは異なる。(図参照)
遠隔放射冷却
ダイバータを有する装置において、ダイバータ板に向かって流れ出る熱の一部が、ダイバータ・プラズマからの放射により逃げて冷やされる現象を指す。この冷却効果により、ダイバータ板への熱負荷を低減することができる。主にプラズマに直接影響を及ぼすことなく、プラズマの高温部から離れたダイバータ板の直前で熱を除去するので、遠隔放射冷却と呼ばれている。遠隔放射冷却法とは、この遠隔放射冷却現象を利用して、ダイバータ板への熱負荷を低減する方法である。

 か行 
高速点火計画FIREX
Fast Ignition Realization EXperiment の略。中心に点火源となるホットスパークを持たない低温の超高密度プラズマを爆縮で作り、このプラズマが膨張により飛散する時間よりも短時間(高速)に、短パルス(ピコ秒(10-12秒)程度)の超高強度(ペタワット(1015ワット))レーザーを照射してホットスパークを作り点火を起こす新しい点火方式。中心で点火が起こる従来方式よりも必要なレーザーのエネルギーが小さくなるばかりでなく、より高い核融合利得が得られる先進的な方法である。
国際トカマク物理活動(ITPA:International Tokamak Physics Activity)
ITER工学設計活動に貢献したITER物理R&D活動を継承し、IAEA国際核融合研究委員会の支持の下に平成13年に発足したトカマク物理研究における最大の国際活動(日、米、欧、露、中、韓)。調整委員会と7つのトピカル物理グループで構成され、以下の活動を精力的に行っている。
  • 実験データベースの収集、評価
  • 実験解析結果の収集、評価
  • データベースの整備、管理、及び更新
  • 実験結果を説明する理論モデルの構築、及びシミュレーション計算
  • ITER等の核燃焼トカマクプラズマの性能検討
  • ITER等の核燃焼実験におけるプラズマ制御及び解析に伴う、計測関連の主要問題の抽出及び解決
国際熱核融合実験炉(ITER:イーター)計画
核融合炉の科学的実証である本格的な核燃焼プラズマの達成及び長時間運転を目指したトカマク型の核融合実験炉計画。 2007年10月にITER協定が発効し、日本・米国・欧州・ロシア・中国・韓国・インドの7極で建設を進めている。(図参照)
工学実証・工学設計活動(EVEDA)
IFMIF計画における工学実証・工学設計段階を指す。現在の要素技術確証段階(KEP)活動に続く活動であり、IFMIFの重要なシステム要素についての工学的な実証、及びIFMIF建設に必要な工学設計を完成させることを目的として、IEAの下で国際協力により推進される。
高自発電流割合
トーラスプラズマ中において、磁場に平行方向に自発的に流れるプラズマ電流の割合を高めることによって、高性能化をはかる。
高ベータ定常運転
磁場閉じ込め方式では、プラズマ圧力と磁気圧の比を「ベータ(β)値」という。ベータ値が高いほど、高温・高密度プラズマを閉じ込めることができる。一方、現在のプラズマ実験では、高々数時間の運転であるが、将来の核融合炉では1 年間にわたり定常に運転されることが望まれる。このような高ベータプラズマを定常に保持した運転の実現が、トカマク型核融合炉においては大変重要である。
高周波加熱装置
高周波の電磁波をプラズマに注入し、そのエネルギーを吸収させてプラズマを加熱する方法。電子レンジと同じ原理。高周波帯により、イオンサイクロトロン波帯、低域混成波帯、電子サイクロトロン波帯などの周波数帯を用いた方法がある。
球状トカマク
通常のトカマクでは、プラズマアスペクト比A がA=3程度であるのに対して、プラズマアスペクト比が極端に小さい(A<2 以下)装置を球状トカマクと称す。ベータ値が数10%のプラズマも実験的に達成されており、トカマクの高性能化の一種として期待されている。
コンパクトトロイド入射
燃料(水素)粒子からなるドーナツ状の小さなプラズマを超高速に加速してプラズマ中心部に燃料補給をするのに用いる方法。

 さ行 
自己点火条件
臨界プラズマ条件より更にプラズマの性能が高まり、プラズマへの外部からの入力なしに核融合反応で生じたアルファ粒子の加熱でプラズマが維持され、核融合反応による出力が得られるプラズマの条件。
自発電流(ブートストラップ電流)
プラズマの圧力が大きくなると自発的に流れるプラズマ電流。
ジャイロトロン
RF加熱法の一つであるECH(電子サイクロトロン共鳴加熱)用のミリ波(100GHz帯)の高周波の発振管。電子の回転運動を電磁波に変換するもので、110GHz、1MWの管はJT-60で使用されている。ITER用170GHzの1MW管は長パルスに向け開発を進めている。(図参照。図はJT-60に設置されたジャイロトロン)
新古典輸送、異常輸送
荷電粒子の集合体であるプラズマの輸送は、クーロン散乱によって支配される。このような輸送機構を古典輸送と称す。さらに、これに環状プラズマによる非均一磁場効果を取り入れた場合を新古典輸送と呼ぶ。一方、プラズマ自身の運動に起因した電磁場の揺動によってもプラズマ輸送が引き起こされ、これを揺動輸送という。揺動の種類や原因の同定が現在の研究では十分でないため、異常輸送とも称す。
先進トカマク運転
経済性に優れた発電実証プラント概念の確立を目指して研究開発が進められている先進的なトカマクの運転方式である。プラズマ電流を定常的に維持するために自発電流割合を高め、炉心の高い出力密度を確保するために規格化ベータ値を高め、プラズマ対向壁への熱負荷を軽減するために周辺プラズマからの放射割合を高めるなどの、発電実証プラントの炉心プラズマに要求される主要なプラズマ条件を同時に達成するトカマク運転を開拓することが必要である。

 た行 
第一壁
核融合炉心の高温高密度プラズマに直接面した容器の壁を第一壁という。第一壁は、核融合反応で発生した14MeV中性子に直接さらされる。従って、長年の中性子照射に耐えうる材料が必要であり、しかも中性子による放射化が低い材料であることが望まれる。
ダイバータ機能
環状磁場閉じ込め方式において、炉心プラズマから拡散してきた高温プラズマを排気する必要がある。これをダイバータ機能という。環状磁場閉じ込め装置では、プラズマと第一壁との境界領域での磁場配位を細工することにより、ダイバータ部と呼ばれる領域を形成し、プラズマの廃熱・排気の工夫をしている。
大半径(R)、小半径(a)
ドーナツ状のプラズマの大円方向の半径、すなわち、装置の中心からドーナツ状プラズマの断面中心までの距離を大半径という。また、ドーナツ状のプラズマの小円方向の半径、すなわち、プラズマ断面の半径を小半径という。(図参照)
断面形状制御
トカマクプラズマの円環断面は縦長の非円形形状をしている。プラズマの閉じ込めや安定性において、断面形状が大きく影響する。非円形度を含めたプラズマ断面形状の最適化制御が重要となってきている。
中性子照射
DT 核融合炉で発生する14MeV 中性子により、第一壁構造材料等が曝されることを中性子照射という。そこでは、14MeV 中性子による材料中の原子の弾き出し損傷に加えて、α粒子を生成する(n,α)反応によるヘリウムの蓄積が大きな問題となる。
超高強度レーザー
近年のレーザー技術の進歩により可能となったテラワット(1012ワット)以上の出力を持つ、パルス幅(持続時間)がピコ秒(10-12秒)以下のレーザーのことをいう。
超高ベータプラズマ
ベータ値が数10%から100%にもなるようなプラズマ。核融合炉の高性能化や先進核融合炉心プラズマでは、このような超高ベータプラズマが求められている。従来型のトカマクやヘリカルが10%程度のベータ値であるのに対して、トカマクと類型の環状電流磁場閉じ込め方式である逆磁場ピンチ、スフェロマック、逆転磁場配位や、最近では球状トカマクや内部導体配位等において、新たな超高ベータプラズマの可能性が探求されている。
ディスラプション
プラズマの内部構造が変化し、プラズマ電流が急速に減少してプラズマが消滅する現象。
抵抗性壁モード
理想壁が存在する場合には、高ベータ下でプラズマが壁に近付くと壁に渦電流が流れプラズマを安定に保つが、実際には導体壁に抵抗が存在することにより、電磁流体力学的不安定性が成長するモード。
低放射化フェライト鋼
クロムを7-12%程度含む高温用鋼で、高エネルギー中性子照射への耐久性や耐食性が比較的高い。さらに、中性子照射による放射化を低減するように成分が工夫されており、使用後に適当な期間保存すれば浅地埋設が見込める。近い組成範囲を持つ鋼(非低放射化)は、高速炉炉心や火力プラントでの使用実績があり、製造工程やデータベースも既に確立している。このように工業材料としての生産性及び利用基盤の充実度は高い。代表的なものに、クロムを8%、タングステンを2%含むF82H鋼等があり、核融合発電の実証用プラント以降のための有力な候補材料として研究開発が進められている。中性子照射に伴う延性脆性遷移温度(DBTT)の上昇と強磁性の影響等が今後の重要な研究課題。
低放射化材料
核融合炉では、D-T反応で生じる高エネルギー中性子の照射により、炉内構造物等が放射化するが、この放射化の程度が低い材料を総称する。なお、低放射化材料の内、強度等の特性の劣化が低い材料で構造材料としての使用が期待されている材料には、低放射化フェライト鋼、バナジウム合金、繊維強化型シリコンカーバイド(SiC/SiC)複合材料などがある。
電流ホール(Current Hole)
JT-60で世界に先駆けて発見された現象で、負磁気シアプラズマにおいてプラズマ中心領域で全く電流が流れず、磁力線の篭(閉じ込め磁場)が形成されていない領域のこと。さらにJT-60では電流ホール領域で1億度を超える核融合プラズマを安定に保持できることを実証した。(図参照)
電流駆動(Current drive)
トカマク装置では、プラズマ中を走る電流がその安定な閉じ込めに大きな意味をもつ一方、装置の原理から、電流発生は間歇的とならざるを得ない。そこで、高周波発生装置あるいは中性粒子入射装置によるプラズマ電流の駆動を行い、電流を維持して、トカマクの連続運転を実現しようというもの。
トカマク
環状電流を有する磁場閉じ込めの一方式。強い環状磁場を有し、かつ、環状方向に電流を流すことによりプラズマを安定に閉じ込める。プラズマ電流はオーム加熱の原理により、プラズマ加熱としての役割も果たしている。旧ソビエトのクルチャトフ研究所で考案され、その優れた閉じ込め性能のために世界各国の研究所で、この形式のプラズマ実験装置が建設され研究されてきた。(図参照)
トリチウム
原子記号HまたはTで表示。水素の同位体で、三重水素ともいわれ、核融合炉の燃料として使用される。天然にはほとんど存在しないが、核融合炉では、核融合反応によって発生する中性子と、リチウムの反応を利用して作ることができる。

 な行 
内部輸送障壁(Internal Transport Barrier:ITB)
プラズマ内部のある半径において、プラズマの熱伝導率が激減し閉じ込め性能が大きく改善され急峻な温度勾配が形成される現象で、JT-60で初めて発見された。その後、多くのトカマクで同様の現象が報告されるとともに、多くの高性能プラズマに共通して現れ、プラズマの閉じ込め性能の改善の鍵となる現象として、世界中で研究されている。理論的な研究も進められており、プラズマの流速の空間的な変化に起因して、微細なプラズマの乱れが抑制され閉じ込めが改善されるという理論が提唱されている。

 は行 
パラメータ
物理量の総称をパラメータと称す。例えば、核融合炉心プラズマとして求められる物理量(パラメータ)として、温度、密度、閉じ込め時間等が挙げられる。
非誘導電流駆動プラズマ
トカマクでは、プラズマ中に電流を流す必要がある。現在の多くのトカマク実験装置では、プラズマ電流を変圧器の原理(誘導方式)で駆動しており、プラズマ電流駆動時間に限界がある。核融合炉を定常運転するためには、非誘導方式による電流駆動が必要であり、具体的には、プラズマ自身がプラズマ電流を駆動させる機構を積極的に利用するとともに、中性粒子ビーム入射や高周波による電流駆動を想定している。
負磁気シアモード
トーラス系のプラズマ閉じ込め磁場配位において、磁気シアが負となること。負磁気シア配位は、高い自発電流割合との整合性がよく、定常トカマク炉に適した配位と考えられている。(図参照)
これを用いて、JT−60は平成8年10月に臨界プラズマ条件を達成した。
不純物
プラズマに混入している燃料(通常は水素同位体)以外の元素をいう。プラズマに不純物が混入すると、プラズマの放射損失が増大して温度が低下するほか、核融合反応にあずかる燃料粒子の密度も相対的に減少する。不純物の主要な発生原因は、プラズマ壁相互作用にもとづく吸着ガスの脱離、スパッタリング、蒸発などである。プラズマへの不純物の混入を抑制するため、壁材の改良や壁面の清浄化のほか、ダイバータやポンプリミタの採用が効果をあげている。
プラズマアスペクト比(アスペクト比)
環状磁場閉じ込め方式における特徴的なパラメータは、円環の半径(主半径R)と円環の太さ(小半径a)であり、この比をプラズマアスペクト比(A=R/a)という。一般的なトカマク装置ではアスペクト比がA〜3程度であり、ヘリカル装置ではA=5〜7程度である。また、最近では、アスペクト比が極端に小さい(A<2)トカマクが着目されており、これを球状トカマクと呼ぶ。
プラズマ電流
トカマクプラズマ内に流れる電流の総称で、変圧器の原理で流れる誘導プラズマ電流と、自発電流やビーム電流のような非誘導プラズマ電流とがある。
プラズマ閉じ込め方式
プラズマは、固体・液体・気体に続く物質の第4の状態である。一般的に数千度以上では、どんな物質も原子核に捕捉されていた電子が自由に運動できるようになりプラズマ状態となる。核融合炉では一億度以上の高温プラズマを生成し、それを固体等の容器に触れることなく閉じ込める(保持する)必要がある。プラズマ閉じ込め方式は、磁場を利用した方式と短時間に高温プラズマを生成してしまう慣性(レーザー)方式に大別される。
ブランケット
核融合炉の炉心プラズマは、ブランケットと呼ばれる構造体で取り囲まれている。ブランケットの役割は、(1)核融合炉で発生する14MeV 中性子の運動エネルギーを熱に変換して取り出すこと、(2)中性子とリチウムによる核反応を利用して燃料となるトリチウムを生産すること、(3)ブランケットの外側にある超伝導マグネット等を保護するために炉心からの中性子を遮敞すること、である。(図参照)
ベータ値
プラズマの磁気閉じ込めにおいて、プラズマの持つ圧力と、これを保持するために用いられる外部磁場の圧力との比をベータ値と呼ぶ。磁場によるプラズマの保持効率を表す基本パラメータのひとつであり、ベータ値の向上を図ることが、将来の核融合炉における効率化の見地から重要である。
ペタワットレーザー
ペタワット(1015ワット)のパワーを有する超高強度レーザー。パルス長は非常に短い(ピコ秒(10-12秒)程度)が、高速点火方式によるレーザー核融合において、ホットスパークを持たない低温の超高密度プラズマの中心部に照射し、点火源となる高温スパークを作るのに使われる。
ヘリウム灰
重水素と三重水素が核反応して発生する3.5MeVのエネルギを持ったアルファ粒子(ヘリウム原子核)が、プラズマ粒子との衝突で次第にエネルギを失い低温になったもの。核融合炉の燃焼生成物なので灰という。プラズマ中にこれが残留すると出力が低下するので、真空ポンプを用いて常に排出する必要がある。
ヘリオトロン磁場配位
京都大学において、我が国独自の方式として開発されたヘリカル方式のプラズマ閉じ込め用環状磁場配位。京都大学ではヘリオトロンシリーズとして複数の装置を建設・運転し、磁場配位の最適化を行ってきており、現在のLHDの基盤となった。ヘリオトロン磁場配位は、同じ方向に電流を流したヘリカルコイルにより形成される。
ヘリカル(LHD)
ねじれた磁場コイルを用いた環状プラズマ閉じ込め方式をヘリカル系と称し、LHD(Large Helical Device の略)は、岐阜県土岐市の文部科学省核融合科学研究所で稼動中の世界最大規模のヘリカル実験装置。平成2年より建設が開始され、平成10年3月より実験が開始された。2本のヘリカルコイルと3対の円環コイルから構成されるヘリオトロン方式のヘリカル装置で、ヘリカルコイルの蓄積エネルギーも世界最大規模である。
ペレット入射装置
プラズマへの燃料注入方式の1つで、長さ、直径が数mmの固体燃料(ペレット)を高速でプラズマの中心部へ打ち込む装置。(図参照。JT-60の連続ペレット入射装置)
放射化の少ない材料
低放射化材料とも呼ばれる。核融合反応で発生した中性子は炉心プラズマを取り囲む構造材料の構成原子と各種の核反応を起こし、ある確率で新たな放射性同位元素(RI)を生成する。これを放射化といい、放射化しにくい、または生成されたRIの半減期が短いことを低放射化特性といって、特に断らない限り廃棄を想定しての特性を指すことが多い。低放射化材料とは、低放射化特性を備えた材料のことをいう。

 ま行 
無衝突プラズマ領域
荷電粒子の集合体であるプラズマは、クーロン散乱により相互作用を行う。クーロン散乱はプラズマ温度が高くなるほど、その散乱断面積(散乱確率)は小さくなる。例えば、核融合炉心プラズマの平均自由行程は10kmであり、これは直径10m程度の環状磁場閉じ込め装置では、環状方向を数百回回転することに相当する。このような衝突が非常に小さい状態のプラズマを無衝突プラズマ領域と称す。
無電流環状プラズマ
環状磁場閉じ込め方式では、環状磁場と、プラズマ小半径周りの磁場との重畳によるねじれた磁力線構造である必要がある。トカマクでは、プラズマ小半径周りの磁場を環状方向のプラズマ電流で発生させているが、ヘリカルでは、コイル自身をプラズマ小半径周りにねじることにより磁場を発生させている。これを無電流環状プラズマと称し、非誘導方式による電流駆動等が無い点で、定常運転の観点からは優れている。

 や行 
揺動研究
新古典輸送、異常輸送の項を参照。

 ら行 
リップル損失
トカマクは、理想的には、軸対称な系であるが、実際にはトロイダル磁場コイルが離散的に配置されているために磁場の強さはトーラス方向に波状に変化する。これをリップルという。粒子の運動はリップルの影響で軸対称な磁場の場合と変ってくる。これによって引き起こされるプラズマの粒子やエネルギーの損失をリップル損失という。
立体磁気軸
環状磁場閉じ込め装置において、プラズマ中心を磁気軸と称するが、その磁気軸が同一平面上に無く、捩れた状態になっていることを立体磁気軸と称す。環状軸対称でないヘリカル方式では、プラズマ閉じ込め最適化の観点から、立体磁気軸配位の研究が盛んになされている。
臨界プラズマ
プラズマに注入したパワーと核融合反応で発生したパワーの比をエネルギー利得Q値として定義する。臨界プラズマとはQ=1となるプラズマであり、臨界プラズマ条件はプラズマ温度、及びプラズマ密度とエネルギー閉じ込め時間の積、によって与えられる。JT-60(日本)とJET(欧州)では、臨界プラズマ条件を越えるプラズマパラメータが達成されている。
レーザー
慣性方式では、大出力パルスパワーを用いて、直径数mmの燃料小球を、等方的に爆縮(断熱圧縮)させ、瞬時に超高密度・高温プラズマを生成し、核融合反応を起こさせる。このような慣性方式での大出力パルスパワーとして、高強度レーザーが主に使われる。
ローソン・ダイアグラム
核融合炉の炉心プラズマに対する条件は、プラズマ温度・プラズマ密度と閉じ込め時間の積の2つの量で表すことができる。両者を横軸、縦軸にとった図を、この条件を導いた英国の科学者ローソン(D.Lawson)にちなんで、ローソン・ダイアグラムという。
炉工学
核融合炉を概観した場合、核融合反応が起こる炉心プラズマと、プラズマを生成・保持させるための真空容器・ブランケット・超伝導コイル等から構成される。後者のような核融合炉を構成する機器類の研究・開発を炉工学と総称する。
炉心プラズマ
核融合炉としての自己点火及びそれに近いパラメータ領域のプラズマを炉心プラズマと称す。
ロックトモード
誤差磁場により電磁流体力学的不安定性が発達し、プラズマの回転が遅くなり、甚だしいときには回転が停止し、ディスラプションにいたる。これをロックトモードと呼ぶ。